水槽の向こうは、不思議な町でした。

c0159876_23522455.jpg
タイトルは宮崎駿作品「千と千尋の神隠し」のキャッチコピーからパクらせていただきました。

宮崎駿の作品のなかで、一番好きなのがこの、「千と千尋〜」です。
(ちなみに次点は「紅の豚」。これを友達に言ったら、無邪気に「豚が出てくるのが好きなの?」って聞かれた・・・。
 ちがうの。そうじゃないのよ。)

どれくらい好きかって、そらもう、映画館に8回見に行ったくらいです。


この映画、一言で言うと、「ファンタジーに見せかけた、リアルな日本の現代社会」なんです。

自分が望む、望まざるに関係なく、身の回りには必要な物全て揃ってるのが当たり前で、
生きてる実感が無い無気力な子供や、子供に関心の無い母親を初めとし、

・親が過保護なせいで、世間を知らず、体だけ大きくなってしまったけど姿と中身は赤ちゃんのままの「坊」。
・愛される事を知らず、人とのコミュニケーションの取り方を知らず、
それゆえ自分と言う物が分からない=個人を見分ける「顔」がない「カオナシ」
・名前(=個性)を奪い、忘れさせ、イエスマンしか存在する事を許さないボス「湯婆婆」

などなど、登場人物は、現代社会にたくさん実在する人物たちの風刺画に過ぎないんです。


そのなかでも私が一番気になったのは、「カオナシ」。
カオナシはその世界(社会、と言った方がいいでしょうか)への入り方が分からず、
ただ一人呆然と立っている所を、その世界のルールを知らない千尋が入れてしまいます。
自分の存在に気づいてもらえた事が嬉しい。千尋と仲良くなりたい。でもなり方が分からない。
そこで、偽物の金を作り出して、千尋に近づきます。

媚びる事しかわからないんです。「自分」が無いから。スキンシップの取り方がわからない。
周りにもいませんか。そんな人。(けなしてる訳じゃないですよ)

そして金を差し出しますが、群がって来た他の人とは違い、千尋だけはそれを拒みます。
自分の思い通りにならなかったカオナシは、逆上して暴れだし、物を壊し、周りの人を飲み込みます。

最近よく起こる、色々な殺人事件や暴動。カオナシの仕業だと思う事が多々あります。
愛される事を知らず、愛され方を知らず、孤独に耐えられなくなったカオナシの。

殺人犯を弁護する気はさらさらありません。
ただ、私は、そういう事件を起こした人も含め、
人との付き合い方がわからない世間のカオナシたちがカオナシになったそもそもの原因は、絶対的に親にある、と考えています。
家族と言う、こどもが一番最初に出会う社会生活で、きちんと交流の仕方を教えなかった事に。

子供を産んだ事も育てた事も無い私が偉そうに言っていい事じゃないかもしれないけど。


映画のカオナシは、最後、「お前はここにいて私の手伝いをしておくれ」と、ある人に言われます。
自分の居場所をやっと見つけられたカオナシが、おとなしくコクンとうなずくその時、私は何度見ても号泣してしまいます。


不可抗力でカオナシになってしまった人たち。いつかそれぞれに「ある人」が現れて、居場所が見つかりますように。

そして無気力な目をした子供に生きる力がつきますように。
[PR]
by churaphoto | 2009-06-12 01:45


<< ツバメ 血が騒ぎます >>